niwatomo11
お日様がだんだんかたむいて、空の色を虹色にそめていきます。
そうして山の中にゆっくりとかくれました。
どこからともなく音楽が聞こえてきました。
コロコロコロッ、プルプルプル~、フルフルフル~ッ
「うわー。」
フルフルフルッ、フルフルフルッ、コロコロコロップルルルルル~・・・・・・
キュィ~ンキュルキュルキュル、スゥイーッチョン、スゥイーチョン
「ぅぁははは~。」
最初はかすかで小さかった音がどんどん大きな音になり、やがて重なったメロディがゆるやかな波となり、あたりをつつみこみました。
「ボクは今までこんなすてきな音楽があるなんて知らなかった。」
「どうだい、演奏会は。」
いつのまにいたのでしょう、コロが話しかけました。
「どこにいたの?それに誰がこんなきれいな音楽をかなでているの?」
「おれ達は昼間、ほとんどが草むらや土の中、大きな石のかげにいるんだよ、それで夜になると出てきて動き出すんだ。コオロギ、キリギリス、スズムシ、マツムシ、クツワムシ、ウマオイ、カンタン、カネタキ、マダラスズ、まだ少しいるよ。今は恋の季節だからね、みんな女の子の気を引くために、きれいな音楽をかなでるんだよ。」
「へー、たくさん仲間がいるんだね、それに恋ってすてきなんだね。」
「じゃあ、オレも忙しいんで。」
そう言って、コロはどこかへ行ってしまいました。
テルは夢のような音楽をききながら、いつしかぐっすりと眠りにつきました。