やっとのこと飛び乗った屋根を、重たいお腹に力を入れてピョンピョンと登っていくと向うの斜面には一羽のカラスがいた。
めすカラスのニトだ。
クロは以前からニトの事が気になっていて、いつかゆっくり話でもしたいと思っていたが、いつも近づくと逃げられてしまう。
ニトはクロが同じ屋根に止まった事には気付いていたが、腹がふくれれているクロには危険を感じなかったらしい。
「あんた、飛んでる時からお腹が重そうだったわよ。」ニトがクロに話しかけた。
「----。」
恥ずかしいやらなにやらでクロはうつむいてしまった。
「食べ物がないとついありつけた時に食べ過ぎてしまうものよ。」
「----。」
クロは話しかけてきた二トの強そうな横顔をずっと見つめた。