「おまえさんもあの赤い実をねらっているのかい。」
上の方から声をかけてきたのはカラスのじいさんジリだ。
「別に独り占めしようなんて思っていないから言うけどよ、さっきがたスズメの団体が寄ってたかってたんだよ、そろそろいただきに行かないと無くなっちまうぞ。」
クロは親切なのか意地悪なのか分からないジリ爺さんの言葉を聞きながら、この冬は厳しい冬になると直感しスズメが腹をこわしてないのを見てから食べる事にしていたが、そんなのんびりしたことはしていられないと思った。
「じいさん、オレは食うぞ!」そう言うとジリよりも先に飛び出して行った。