cyoro3
鯖トラのハナクソは、おばあちゃんが家の中に入るのを確かめた後、庭石の上に置いてくれたパンの耳をガツガツとたいらげてしまいました。
そして毛づくろいもせずにさっさとどこかへ姿を消しました。
チョロは、おばあちゃんが入っていった家の玄関に、ちょこんと腰を下ろして日向ぼっこを始めました。
そうやって一日の大半を木村さんの玄関先で過ごすので近所のほとんどの人が木村さんの猫だと思っているのです。
本当のところは2年前に分譲されたこの新しい住宅地が出来る前にどこかで飼われていて、人の話によると、その家の番犬がみなしごの子猫だったチョロに母乳を飲ませて育てたといううわさです。
だからか人に呼ばれると返事をして寄って行ったり、あまり移動せずに一箇所にじっとして何かを待っているようなところがあり、なんだか犬のような猫だと近所の人たちは言っています。
ずいぶん昔からチョロのうわさがあるのですが、いったい何年ほど生きているのか誰も知らないのです。